- れな
「最高のセックスがしたい」と私は願いました。
自叙伝めいたものを書けと守護天使が言うので、試みます。
私はおとなしい部類の人間です。学生の頃は、チャラチャラしたグループの男子が苦手でした。大人になっても、都会好きな雰囲気を持つ男性は苦手です。
恋愛に対しても内気でした。幼い頃から恋に憧れるロマンチストで、少女マンガが大好きでしたが、自分から男性に告白する勇気はありませんでした。
誘われる形で幾つか恋愛を経験しましたが、どれもそんなに幸せな恋とは感じませんでした。
あるときスピリチュアルな本を読んでいて、「願いを口にすれば天使が叶えてくれる」といった文面を見ました。当時の私はスピリチュアルなことにそう詳しくはなく、その本がでたらめなものだとは知りませんでした。
私は好奇心をくすぐられ、何か願ってみようと考えました。ドキドキしました。
何を願おう?
つまらない願いでは意味がないと思いました。だから慎重に考えました。
しかし、そこそこ裕福な家庭に育った私は、モノもレジャーも一通り与えてもらっており、ブランドバッグもボーナスで2つも買ったので、欲しいものが思い当たりません。
それでも色々考えました。
色んなものを順に思い浮かべて、やがて私はドキっとしました。
セックスに対する憧れや好奇心が、まだ充分に満たせていないことに気付いたのです。私はそれまでの恋でセックスも経験していましたが、どれもいまいちなものでした。
でも、セックスを口に出して言うなんて、恥ずかしすぎます!考えただけで、私は赤面し、汗をかいてしまいました。
私はしばらく、ドキドキしていました。
やがて決心しました。
家に誰もいないことを確認し、窓の外に誰もいないことを確認してから、おそるおそる、口にしました。
「わ、わたしは・・・、最高のセックスがしたいです・・・。」
私はますます赤面し、汗が出て、ドキドキしてしまいました!
でも、そこで自体は動いたのです。
「協力しましょう。」
そう声がしたのです!
私は、誰かに聞かれてしまったのかと焦って振り返りました!
しかしそこには誰もいません。周りをきょろきょろ見渡しましたが、誰もいません。
「協力しましょう。」
また声がしました。
「私はあなたの守護天使です。」
!?
天使は本当に、私が口にした願いに呼応したのでした。
「か、叶えてくれるの・・・?」
私はおそるおそる尋ねました。
「叶えません。」守護天使は答えました。
「は?今、叶えてくれるって言ったじゃないですか?」
「・・・」少し沈黙がありました。
「『叶える』とは言っていません。『協力する』と言ったのです。」
「!?どういうことですか?」
「あなたの読んだ本に書かれていることは正しくはありません。
天使には、人の願いを具現化する魔法はありません。
ですが、あなたの願望に対して協力することはできます。」
「協力?」
「そうです。アドバイスを出すことは可能です。」
「あ、はぁ・・・」
守護天使は私に、2つの助言をしました。
「誠実でいなさい」
「欲を抑えなさい」
私は正直、あまりピンとこなかったのですが、とりあえず頭の片隅に入れておきました。
それから、何かの選択に迫られたとき、なるべく誠実であるように心がけました。欲を出し過ぎないように心がけました。
しばらくたった頃、某SNSを眺めているときにふと、守護天使が語りかけました。
「そのコミュニティをのぞいてごらんなさい」
それはとあるスピリチュアルなコミュニティでした。
投稿を上から流し読みしていると、ある投稿で目が止まりました。
「キリストは、キリスト教を信仰せよとは言っていない。
キリストのように生きよと言ったのだ」
といった内容のものでした。
私はハっとしました。
「正解です。」守護天使は言いました。
「彼のページをのぞいてごらんなさい。」
私は、何のことかとわからないまま、その投稿者のプロフィールページを訪問しました。
彼の日記は、やはりスピリチュアルな話題で埋めつくざれていました。
とても面白い文章で、のらりくらりとしていました。
そして、他のスピリチュアル本に書かれている内容と、全然違います。
彼はとても冷静で、あらゆる神秘を斬り捨てていました。
たしかにそのとおりだ!と私は思いました。目からウロコが落ちる思いでした。
「彼に友達申請をしましょう。」守護天使は言いました。
「いいの?」私は戸惑いました。とても遠い、高いところにいる人に思えたのです。
私は友達申請のメールをしました。丁重に、言葉を選びました。
しかし返ってきた返事はすこぶるナチュラルで明るく、私はホっとしました。
ずっと前から友人だったような安心感を、最初から与えてくれる、不思議な人でした。
私は彼の日記にコメントをしたり個別にメールをしたりして、少しずつ親睦を深めていきました。
とても楽しい人でした。ユーモアセンスにあふれており、文章だけで人を魅了します。そして優しい人でした。優しさや柔らかさが、文章にもにじみ出ていました。こんな男性は初めてです。
私は、彼がたまに日記で彼の写真をアップするのを見て、ドキドキするようになりました。
すると守護天使は言うのです。
「彼をセックスに誘ってごらんなさい」
「!?」
私はそこで、自分がセックスの願い事を天使に請うたことを思い出しました。
彼がその願いに関連しているとは、それまで思ってもいませんでした。
私はドキドキしながら、彼を食事に誘いました。
とはいえ、彼は都心に住んでいて、私は地方に住んでいました。彼と会うには上京する必要性がありました。私は遠出を好みませんが、彼に会いたいと思い、腰をあげました。
私は食事をしながら、彼と色んな話をしました。
スピリチュアルなことをたくさん質問しました。日記に書いてあったはずのことを私が尋ねても、彼は嫌な顔をせずに教えてくれました。
私は色々考えて、生理の話題をしました。生理に関するスピリチュアルな話題を、質問したのです。性的な話に移りやすいと考えたのです。
そして顔を真っ赤にしながら、思い切って彼に告げました。
「あのう、ホ、ホ、ホテルに行きませんか?」
彼は最初、意味がわからず口をぽかんと開けて、でもやがて、この言葉の意味を理解したようでした。
そして返ってきた言葉は、とても意外なものでした。
「ちょっと待って、ペンジュラムに聞いてみるから。」
彼は、誰とセックスするかを、自分の意思では決めないのだそうです。ペンジュラムが(ガイド霊が)「YES]と指示する人とだけ、体を交わすのだそうです。
やがて彼は、モジモジしながら、「良いって♪」と微笑みました。
彼はトイレに立ちました。
すると、私の守護天使が私に語りかけてきました。
「『誠実でいなさい、欲を抑えなさい』と私が告げたのを覚えていますか?
あなたが不誠実であったなら、欲深い、執着の強そうな女であったなら、
彼のガイド霊はあなたとのセックスを承諾しなかったでしょう。」
「・・・!!」
こんなにもすべてがつながっていたことに、私は驚きました!
私たちはホテルに行きました。
私はとても緊張していました。ドキドキして、体が震えていました。
ベッドの上で、表情の硬い私を見て、彼はニコっと微笑みました。
彼は私を、優しく抱きしめるのでした。
髪に口づけをして、そして背中や髪をなでました。
私はたったそれだけで、頭がクラクラしてしまいました!
気持よいのです。「心地よい」と言いましょうか。
緊張や恐れは次第に和らいでいきました。
すると私は、自分から彼に口づけをしました。
キスをしたくてたまらなくなったのです。
彼は優しいキスをしました。まるで仔犬のようでした。
彼は私を優しく愛撫しました。
とても丹念で、長い時間、愛情がこもっていました。
こんなに長い時間愛撫してもらったのは生まれて初めてです。
私は挿入をする前に、前戯だけでオーガズムに達してしまいました。
彼は「挿れようか」と私に言いました。
「うん」とうなずいたのもつかの間、守護天使の声がしました。
「恩返しをしてあげなさい。」
私はハっと気づいて、自分も彼に愛撫をすることにしました。
私はあまり男性に愛撫したことがありませんでした。女性が男性に愛撫することは屈辱だとすら思っていましたし、愛撫が楽しいと感じたことはなかったものですから。
しかしこれだけ丹念に愛撫をしてもらって、たしかに恩返ししないわけにはいかないと思いました。
しかし、愛撫をしてまたビックリしてしまいました!
彼は、ものすごく感度が良いのです。
私が彼の乳首を舐めると、彼はビクンビクンと体をくねらせて官能するのです!
アダルトビデオの、感度のよい女優さんのようです!
彼は、「あぁ、うぅ」とセクシーな吐息をもらし、ハァハアと呼吸を乱し、そして「気持ち良い」とささやきました。
彼は、愛撫を「受けとる」ことも、とても上手なのです。
私がこれまで愛撫をした男性は、丹念に愛撫をしてもまるで無反応でした。体が動いたりもしません。
しかしこの彼は、女性と見まがうくらいに、愛撫で官能します。
私は、彼が官能しているのを見て楽しくなってきました。
愛撫することが楽しく、官能させることが楽しいのです。
ちょっとイタズラっ子な気持ちにもなります。
彼が痛気持ちいい愛撫に顔をゆがませると、私はドキドキと興奮しました。
「セックスが楽しい」とはこういうことだったのか!
私は初めて、セックスが何たるかを知ったのです。
そればかりではありません。
彼のペニスの敏感なところを愛撫し、彼がもだえるたびに、私の膣が官能し、膣液がジワっとにじみ出るのを感じました。愛撫「する」側なのに、官能し、性器が濡れるのです!
私たちは一つになりました。
彼は私の顔を見ながら、私の様子をうかがいながら、ゆっくり優しくペニスを挿れました。
とても大きなペニスです。彼の身長のように細長くて、きれいな形をしています。
私はコンドームを着けませんでした。
あらかじめ持参してきていましたし、ホテルにも備えつけられていましたが、着けませんでした。
生のまま挿入してもらいたいと感じたのです。
妊娠のリスクがあることはわかっていましたが、でも、合成ゴムの隔たりがとても窮屈に感じられました。彼と一つになりたいのです。
「妊娠しても責任を押し付けないから」私は真顔で言いました。
彼は私をぎゅーっと抱きしめました。
体中に彼の体温が伝わり、そして彼のペニスが奥まで入ってきました。
そっと挿れるだけで、もう子宮口のポルチオ性感帯に届いてしまいました。
私は頭が真っ白になりました!それだけでもう、驚くほど気持ち良いのです!
また、もう、イってしまいそうなくらいです。
「かわいいね。」
不意に彼はささやきました。
「感じてる顔がとってもかわいい。」
私は恥ずかしくなって赤面し、でもものすごいエクスタシーを感じていました。
言葉で官能することがあるのだと知りました。
彼はセックスをしながら、色々とささやきます。
どんなプレイがしたいか私の願望を尋ねてくれます。
どんな強弱が心地よいのか私の好みを尋ねてくれます。
私の体のあちこちを、褒めてくれます。
私はそのたびに官能します。
彼の「優しさ」に官能しているのだと気づきました。
ゆったりと、長い時間セックスをしました。
前戯だけで30分を過ぎていました。結合を含めると2時間くらいだったと思います。
私が、「もうダメ。ギブアップ!」と言うと、
彼はそっとペニスを抜きました。
私の髪や体をなでながら、ただ添い寝をしています。
やがて、
「シャワー浴びてくる?」と彼は私に言いました。
「え?まだあなた、イってないよ!」と私が言うと、ニコっと笑ってこう言うのです。
「僕がイクかどうかはどっちでも良いんだよ♪」と。
普通の男性はここで、「じゃぁ口でイカせて」と言うでしょう。しかし彼はそういうことを言わないのです。求めないのです。
自分が射精に達しなくても、それでも良いと考えているのでした。相手を悦ばせることが最優先なのです。
こんな男性が、世の中には本当にいるのです。
とても恥ずかしいですが、この際なので書きます。
彼とセックスをして、益々彼と親密になりました。私が心を開くことができた、という意味です。
私は平均よりも上品な言動をする人間ですが、しかしエッチな単語を口にしたり、下ネタな会話をしたりしたい願望を持っています。
彼とセックスを交わしたことから、私は彼にそれをぶつけることができるようになりました。
もっぱらメールですが、エッチなことを書いたりするのです。
私はそれで興奮し、楽しくなります。膣が濡れてしまいます。
他の男性にそんな言葉を言えば押し倒されてしまいそうなので無理ですが、彼になら安心してそれが言えるのです。それに、彼もエッチな人ですから「ドン引きだよ!」なんて言われたりもしません。
私は彼とのセックスを最高のものだと感じましたが、その一方で他の男性とセックスしてみたい願望があります。私は、「あなたのセックスは最高だ」と伝えつつ、「福山さんとセックスしてみたい」と浮気な本音を話します。こうして浮気な本音を話しても寛大に受け止めてくれることもまた、彼の素晴らしいところです。
エッチな会話をすることは、ストレス発散になります。こういうことを好む人たちの気持ちがよくわかりました。しかし、相手を選ぶことがとても重要なのだと思います。
「最高のセックスがしたい」という私の願望は、こんなふうに達成されました。
天使は願いを叶えてはくれませんが、協力を、助言をしてくれます。
あとは私が行動するかどうかにかかっています。
あなたの願望成就の参考になれば、幸いです。