ゲストハウスが、日本でも1泊2,000円で長らく旅人を泊めることが出来たのは、なぜでしょうか?
「ビジネスのやり手だから」ではありません。
「儲けなんて二の次だよ」というオーナーたちが、旅人に施し続けたからです。
ゲストハウスのオーナーはもっぱら旅人
安くて良心的なゲストハウスは、もっぱら「自分も旅人だった人」によって運営されています。
「民宿」になると旅行経験のない保守的な人も多いのですが、「ゲストハウス」となると、まず間違いなく旅人です。
彼らは、自分が旅の中であちこちの人に助けられた体験から、「自分も次の旅人を世話してやりたい」と思うのです。旅、特に長旅が、格安宿に支えられていることをよくわかっていますから、格安宿を提供してやりたいのです。
こういう美学を持っていないと、安いゲストハウスのオーナーは出来ません。やっても続きません。
旅人との会話を楽しいと感じていないと無理
安宿の宿主の役目は、ベッドを提供するだけではありません。
ベッドメイクや清掃ももちろんのことですが、旅人たちの困りごとや質問に対して、応えることを「楽しい」と思えていないと、続きません。
ゲストハウスのオーナーは、夜の12時に客が「寒いんですけど、毛布を貸してもらえませんか?」と言ってくるとき、「夜中なのに迷惑だなぁ!」とは思っていないんです。助けてあげることを「楽しい」と感じています。
普通、ビジネスは、客がピンチであればあるほど、それを助けることに大きな料金をとります。しかしゲストハウスのオーナーは、客がピンチであればあるほど、それを無償で手助けし、そのことに喜びを感じています。
客を助けることが楽しいですし、客と会話することが楽しいのです。
類まれな人情を持っています。
「使命だ」と言われても、楽しいと感じないなら無理をしないほうがいい!
「安くて良心的な安宿を営むことが使命だ」と告げられる人がいます。
使命と言われたら挑戦したくなるかもしれませんが、これは単なるビジネスとは異なります。
あなたが自分で旅をしてみて、ゲストハウスに泊まることを楽しいと感じないなら、もう無理です。
そして宿泊が出来るとしても、旅人同士で会話したり、スマホの充電ケーブルを貸してあげたりすることを「楽しい!」「気持ちいい!」と思えないなら、ゲストハウスの運営は無理です。やっても続かないです。
建てた資金が無駄になってしまいますから、見込みが薄いならやらないほうが良いです。
ガイド霊たちは、とりあえず使命を持つ人に「これが使命だ」と告げはするでしょうが、私の意見からすると、あまりやる気もしないのであれば、参入しないほうがよいです。
資金も時間もかなり掛かるはずなので、大赤字になる前に適正を見極めましょう。
ハッキリ言って、ゲストハウス経営に向いている人は、「あなたの使命だ」なんて言われる前に、自分からそれに類似したものをやろうとします。ゲストハウスでないにしても、フリースペース的なことをやろうとします。
人と話し、助けることを好む人に、それは向いています。
「祖父から譲りうけた建物がある」というだけでは無理ですね。
「旅の人情が好きだが、長時間の交流は疲れる」と感じるなら、ゲストハウスや場所を運営するのではなく、旅の中で旅人を助けてあげたり、駅で外国人に道を教えてあげるとよいです。