音楽や絵画など、芸術をたしなみはじめると、人に評価されたくなるものです。
そして、「良い歌声とは?」「顔パーツの黄金比は?」などと調べようとするでしょう。
芸術の良し悪しとは?1つの基準だけではない
芸術の良し悪しとは、1つの基準だけで語れるものではないのです。
たとえば「ヴィブラートの豊かな声が売れる声だ!」なんて情報を目にすると、声にヴィブラートをかけることばかり躍起になってしまいます。
それではダメなのです。
ヴィブラートはあくまで、「声の魅力の1つ」にすぎません。
ポップスの中には、むしろヴィブラートをかけないほうが合う曲もあったりします。
歌い手にとって重要なことは、「この曲はどんな歌声で歌うとハマるかな?」と客観的に分析することです。そして、そのとおりに歌声を変えることです。
歌声を変えるためには、様々な声の出し方が出来るようになっておく必要があります。
一般的に、オペラや声楽の歌い方の出来る人のほうが「歌が上手い」と言われます。しかし現代日本において、オペラ歌いが出来てもオリコンで1位にはなれません。ポップスには合っていないし、大衆の好みにも合致していないからです。
オペラ的な歌唱力は、「声の魅力の1つ」にすぎないのです。
絵にも同じことが言える
絵やイラストにも同じことが言えます。
複数のテイストで描けるようになったほうがよいのです。
そしてそのときの創作物に対して、「どのテイストが一番ハマるかな?」と考えて、最適と思えるものを選択します。
写実的にリアルに描くことがいつも最高とはかぎりません。
クレヨンしんちゃんみたいなさらっと描いた2等身のキャラが、最も合うこともあるのです。
ざっくりと言えば、
写実的にも描ける
5等身の萌え少女も描ける
2等身のドラえもんも描ける
といったような複数のテイストの描き分けが出来るようになったほうがよいのです。
もっともっと様々な基準軸がある
ここに書いたのはあくまで一例で、音楽にも絵画にももっと様々な基準軸があります。
感情的に歌うか、淡々と歌うか、といったこともあります。スピッツの曲は淡々と歌ったほうがハマる、というようなことです。
色を濃く塗るか薄く塗るか、といったこともあります。水彩画のような薄い色で塗ったほうが映えることもあります。
作品に入りこむセンス
最終的に、最も優れた芸術家とは、「作品に入りこむセンス」に長ける人です。
作品に寄り添うのが上手いのです。
「演技が上手い」という感覚に似ていますが、「演技する」というよりも「自我を捨てて作品に同化する」という感じで、「演技する」のとは真逆とも言えます。
優しい曲は優しく歌う
というようなことです。
自然と、表情だって優しくなっているはずです。
芸術とは、当然のことながら奥が深いです。写生大会で全国優勝したとしても、絵の探求はまだまだ終わりません。